▼私にとってD.A.ノーマン(の著書)は、自分の人生における原点の一つと言って良い(いったい原点がいくつあるのかってツッコミはなしね)。
- D.A.ノーマン (著), 安村通晃, 岡本 明, 伊賀聡一,上野晶子 翻訳(2008). 未来のモノのデザイン. 新曜社
以前もネタにしたことがあるが、もし某大学の小論文の問題を通してノーマンと出会っていなければ(93年出題)、もしかしたら志望校そのもに興味を持っていなかったかもしれないし、コンピュータから「人」に関心を移すことはなかったかもしれない。歴史において「もし」を考えることに意味はないが、出会うべくして出会ったのだと思いたくなるほどの影響力があった。
予備校に入ってから最後の(1浪以上はあり得なかったが)受験小論文では、創造性に関して、なぜか私はGUIとCUIの違いについて論じた。ちなみにGUIは、マウスでの操作に代表されるグラフィカルユーザインタフェースの略で、CUIはキーボードでの操作(文字=キャラクタね)を意味する。
今思えば、何故に、Macに代表されるGUIが人間の創造性を豊かにした!的な、今思えば安直な、当時としてはマニアックな(一度も練習したことがない)事例を用いたのか謎でならないが、結果、私の人生も、ある方向に導かれてしまったのだろう。いわゆる再現論文(自分なりに答案を再現し、予備校に
高く売りつける提供する小論文のこと)は、「なんだかよく分からないがすごそう」と評されて、何ら後生に貢献できなかったらしいが、これも仕方があるまい。。
以上、読書メモを書く前のただの前置き。
▼今回の『
未来のモノのデザイン』も示唆的な内容が多く、いくつものインスピレーションを得ることができた。「薫陶」って、こういうことを指すのだろうな、と言葉を感覚にしてみたり。ノーマンは、日常感覚を言葉(喩え)にする名手だからこそ、言葉を感覚に変換する「感覚」がよみがえるのだろうな。
以下、断片的メモと勝手なコメント。
▼その(1) 予想外
予想外のことについて、我々は次の二つのことを知っている。第一に、それはいつでも起こる。第二に、それが起こるときはいつでも予想外だ。(p.16)
某社の「予想外」を彷彿してしまう。某社においては、前者の意味合いが強いからこそ、ネタになるのだろうな、と思ってみたりして。

▼その(2)暗黙のコミュニケーション
何かしら新しいものに出会ったとき、我々はほとんどの場合、それが今までと違う経験だと気づきもせずに、何の問題もなく使う。どのようにしてこれが可能になるのだろうか?我々は一生を通して、数万もの異なるモノたちに出会う。そのほとんどの場合、我々はそれとどう付き合うかをまさしく知っている。教えてもらうこともなく、ためらうこともない。(引用者改行)
必要に迫られれば、まったく新しい解決法をデザインすることができるのも希ではない。それは「ちょっとした工夫」と言われる。ガタつくテーブルを安定させるために脚の下に紙を折りたたんで挟むとか、日差しをさえぎるために窓に新聞紙を貼るなどである。何年も前、この問題を考えていて、答えは暗黙のコミュニケーション、今日我々が「アフォーダンス」と呼ぶコミュニケーションの一形態と関係があるにちがいないと気がついた。(p.81)
引用後、さらに引用してしまうが
「何かしら新しいものに出会ったとき、我々はほとんどの場合、それが今までと違う経験だと気づきもせずに、何の問題もなく使う。どのようにしてこれが可能になるのだろうか?」という疑問は、私的にも永遠の疑問である。「応用力」とか「転移(移転)」などと呼ばれる領域ではあるが、改めて指摘にマーカーを何度も重ねてみたり。
▼その(3)リスクホメオスタシス
今日、我々は快適すぎる。世界の持つ固有の危険性、複雑で強力な機械の操作に固有の危険性から隔離されすぎている。オートバイや自転車、機械や薬が実際のとおり危険なように見えたら、たぶん人びとは行動を適切に変えるだろう。すべてのものが防音され、クッションが付けられ、消毒されていたら、我々はもはや本当の危険に気がつかないだろう。だから、危険な描写を呼び戻さなくてはならないのである。(p.102)
リスクホメオスタシスに関連する指摘の一つ。テクノロジー(ノーマンの定義によれば、「人工物や素材、生活との手続きを生み出すために知識を体系的に応用することすべて」
p.114)が発達は、人をある種の「リスク」から遠ざけ、それが結果として新たな「リスク」へとつながる。この矛盾をどう扱っていくかが、テクノロジーを扱うすべての人間に問われているんだろうなぁ…。
▼その(4)考える機械
最後に登場するノーマンのフィクションは…、自戒のためのルールとして刻み込んでいたい。教員向けのルールに置き換えても(機械を教員に置き換え、人間を児童、生徒、学生に置き換える…)意味がありそうだ。
機械によって作られた、人間とのインタラクションを改善するデザインルール
1 ものごとを簡潔にする。
2 人間には概念モデルを与える。
3 理由を示す。
4 人間が制御していると思わせる。
5 絶えず安心させる。
6 人間の振るまいを決して「エラー」とは呼ばない。(人間のインタビュアによって追加されたルール)(p.234)
相変わらずただの「メモ」だが、ご勘弁をば。
- D.A.ノーマン (著), 安村通晃, 岡本 明, 伊賀聡一,上野晶子 翻訳(2008). 未来のモノのデザイン. 新曜社
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