読書メモ(断片):石井淳蔵『ビジネス・インサイト』
▼『マーケティングの神話』で知られる石井淳蔵先生の新刊を久々に読む。「あとがき」に寄れば、マーケティングの神話以来、15年ぶりらしい。15年も経ったのか!と驚くことはあっても、今もなお『マーケティングの神話』の記憶の新鮮に蘇るということは、それだけ私的には影響力のあった本だったのだろう。今回も、期待を全く裏切らない内容であった。

本書における ビジネスインサイトとは、経営において「跳ぶ力」、あるいは「将来を見通していく力」(p.50)、あるいは、「創造の知」を意味する。先日、私の最も身近な顧客に対してホンダの「インサイト」(ハイブリッドカー)の「インサイト」ってどういう意味?と聞いてみたところ、ほぼ壊滅状態だったことは、これまた記憶に新しい。日本の現在、あるいは将来にわたる「インサイト」(×商品名)不足は危惧するばかりだが、残る可能性にかけてみたいところだ。
▼印象に残ったところは多いが、冒頭のエピソードから「読ませる」内容。

本書における ビジネスインサイトとは、経営において「跳ぶ力」、あるいは「将来を見通していく力」(p.50)、あるいは、「創造の知」を意味する。先日、私の最も身近な顧客に対してホンダの「インサイト」(ハイブリッドカー)の「インサイト」ってどういう意味?と聞いてみたところ、ほぼ壊滅状態だったことは、これまた記憶に新しい。日本の現在、あるいは将来にわたる「インサイト」(×商品名)不足は危惧するばかりだが、残る可能性にかけてみたいところだ。
▼印象に残ったところは多いが、冒頭のエピソードから「読ませる」内容。
経営者は跳ぶのが仕事。そこは経営者独自の感覚がものを言う。そのため、学問とは無縁の仕事のようにも思える。だが、そうとも言えない。経営者の仕事と学問の関わりを見る上で面白いエピソードを紹介しよう。大学関係者にとって都合の良い話かと思うが、目的意識を持って学ばない限り「インサイト」は誰にも訪れないものと思ってみたりもする。実務に就いてなおもまた「学び」「振り返る」余裕をもっていきたものである。
神戸大学の同僚であった加護野忠男から、「松下幸之助と本田宗一郎と中内功の共通点は何か」と、問われたことがある。言うまでもなく、松下幸之助はパナソニック(旧・松下電器)を、本田宗一郎はホンダを、そして中内功はダイエーを、それぞれ創業して大企業に育てた人たちであり、わが国では歴史に残る起業家である。彼らの共通点は、加護野に言わせると、「実務に就いてから、学校に通った」という点だと言うのだ。
そう言われてから調べてみると、松下幸之助は、十九歳のときに自分で店を経営しながら、関西商工学校夜間部予科に通う。本田宗一郎は、ホンダの前身となる会社を設立し社長となった後、浜松高等工業学校(現・静岡大学工学部)機械科の聴講生となり、三年間金属学の研究に費やす。中内功は、戦後復員してから、仕事の合間を縫って旧制神戸経済大学(現・神戸大学)に戦後設立された第二学部(夜間部)に進学する。
確かに三人とも、社会に出て自分の仕事に一生懸命励んでいる時期に、学校に通っている。たぶん無理をして時間を割いたことだろう。(略)本書を書く中でいろいろの経営者のお話を文献やインタビューで調べていると、しかし、社長業の合間を縫って、学校やセミナーに通った話がけっこうよく出てくる。そして、「経営学や経営学者の話が、事業を進めていく上で役に立った、決め手になった」という話も出ている。pp.4-5.
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