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読書メモ(ミニ):『自動車絶望工場』と『トヨタの労働現場』

▼いわゆる「派遣切り(雇い止め?)」の話題が、ようやく最近になって、マスコミ報道で下火になってきたので、そろそろ話題にしてみたい。

 これまで知る人ぞ知る存在だった『蟹工船』が話題となって、続いて鎌田慧の名著『自動車絶望工場』がマスメディアでも取り上げられるようになるかと思ったが、さすがは偉大なるスポンサー日本企業。「派遣切り(雇い止め)」は取り上げられても、そもそもの根幹には立ち入らないらしい。
▼東北(正確には宮城県だが)育ちの人間にとって、「出稼ぎ」労働が抱える問題は身近な問題である。人によっては、「出稼ぎ」なんて、また古い話を!と思われるかもしれないし、中国の農村の問題と勘違いする方もおられるかもしれない。。しかし、関西人にとって「差別」が身近な問題であるように(※)、東北の人にとっては切実な問題だった(はず)である。

 ※個人的な話で恐縮だが、私が大学に入って=上京してショックだったのは、同級生が「出稼ぎ」は歴史上の話だと信じていたこと。逆に、「差別」の問題を私は、教科書に登場する過去の話題だと思い切っており、それが誤りだと知ったこともショックだった。現在の日本にないと思っていた訳で…。

▼出稼ぎ労働者がいかに過酷な労働を強いられてきたかは、派遣以前の歴史的な問題である。 季節工から期間工(期間従業員、期間契約社員)、あるいは派遣(ハケン)と名前が変わり、地方からの「出稼ぎ」という色が失われはしたが、日本の製造現場は、不安定な雇用環境にある一部の人間によって支えられてきたと言っても過言ではない。

 そもそも、先進国なんてもんは、途上国の安価な労働力を合法的に搾取物価相当に見合う賃金で雇い入れて、成立しているのだが、それもまた、マスコミでは「他人事」のように報道されるだけで、問題視もされていない(なんて語る私も、何もしていないので、同じ罪を背負っているが)。

▼30年、40年と同じような構造的な問題は放置され、それが一時的に目に見える形で顕在化するとマスコミで取り上げられ、ある程度すると話題にもならなくなる。そうやって「絶望」は隠蔽されてしまう宿命にあるらしい。

 トヨタだけの問題ではないと思うが、派遣以前の問題がそこに存在していることを強調していくべきではないかと思ってみたりもする。
 もちろん単純な問題ではないことは百も承知ではあるが、今一度、『自動車絶望工場』と、『トヨタの労働現場』を読み直してみよう。

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