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読書メモ(断片):『赤を見る―感覚の進化と意識の存在理由』

▼ちょっと前の読書メモでも触れた『完璧な赤』に続き、「赤」の話題。
 もっとも、『完璧な赤』は、「赤」色の染料を巡る中世ヨーロッパの歴史的な物語だったのに対して、『赤を見る』は、意識の起源や知覚・感覚心理学的な話題。

 何故に、人は「赤」を「赤」として認識することができるのか。

 意識は、何故に、意識として機能しているのか(意識はなぜ重要なのか)。

 古くて新しい問題である。

▼結論から先に述べるのは恐縮だが、結論は「驚くべきというか、進化心理学的な着地で、「分かるようで、分からない」といった読後感が残ってしまった。

 一言でまとめれば次の部分か。
 本書で目指したのは、冒頭でも述べたように、なぜ意識が重要なのかを解き明かすことだった。今や新たな答えが波間にその姿を現し、おずおずと陸に上がってきた。意識が重要なのは、重要であることがその機能だからだ。意識は、追い求めるに値する人生を持った自己を、人間の内に作り出すよう設計されているのだ。(p.145)(下線は引用のまま)
 「訳者あとがき」には、次のように示されている。
 本書の目玉は、著書の提示する、コロンブスの卵のような斬新な意識の仮説、すなわち「意識が重要なのは、重要であることがその機能だからだ」という主張だ。もちろんそれに対する賛否は、ひいき目に見ても分かれるだろう(実際、著者は自分が一種の異端者であることを潔く認めている-ただし、懐疑的な人に筋の通った反論はきっちり述べられると考えているし、日の目は見なかったものの、原書に納得しなかった読者に対するあとがきの原稿さえ用意していた)が、少くなくても、定説や常識、見かけを鵜呑みにせずに疑問を呈し、卓越な発想や手法で緻密に論理的な考察を重ねる著者の能力は、それだけでも十分評価に値する。(p.170)
 「BOOK」データベース(リンク先、amazonのページから読める)では次の通り。
(略)問いを詰めていった先に著者が見出した意識の存在理由をめぐる結論は、「コロンブスの卵」的なものであった。意識は、この人生を生きることが大切で有意義なものであると思わせるべく存在し(だからこそ「他者の自己」を尊重する気持ちも生じ)、そのために不可解な性質を持たねばならなかった、と。)
 多くの本がそうであるが、結論だけ読んでも何にもならない。
 そこに至る、仮説や論証のおもしろさに価値がある、ということか。
 進化心理学系の本のおもしろさっていうのは、やはりこの点につきるのかな。

追伸
 ちなみに同じ著者の『喪失と獲得』も、進化心理学系の本として良い。
 紀伊国屋は、この手のテーマがお好きなのかしら。

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