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読書メモ(断片):『情報学的転回』(西垣通)

▼インドについて調べようと、中沢新一氏の本を一通り書棚から取り終わった後、適当にブラウズしている時に『情報学的転回』が目に入る。そうそう西垣通氏も、インド的なものを好んで紹介しようとする論者なのであった(氏は、情報学分野の研究者ではあるが、宗教や文化的な事柄にも造詣が深いようで、私も以前から影響を受けてきた)。
 「現代日本人はどうしたら、IT文明特有の過当競争と拝金主義のくびきから逃れられるのか」(p.34)を発した後に氏が紹介しているのが、インドの4つのヨーガ(修行)である。なんでまた情報化社会に対して、インドのヨーガなの?という気もするが、ヨーガの原義は「心と対象の統合」という意味である、と言う点がポイントである。
  • ラージャ・ヨーガ
    (精神統一。「肉体的な修練によって心を安定した状態に置く(p.35)」こと)。
  • バクティ・ヨーガ
    (信愛。人格神を愛する)
  • カルマ・ヨーガ
    (献身。「活動的に仕事をすることですが、本質は献身、つまり報いをもとめず自分の身を捧げる(p.37)」。ちなみにカルマ=行為、業。
  • ギャーナ・ヨーガ
    (知識。「世界を正しく知ることによって救済、福音」を求める(pp.40-41)。
 ヨーガと言うと、日本では過去にオウム真理教が、これらの教義を「悪用」した影響を簡単に拭いきることはできないし、慎重に読み取る必要があるのは確かである。また、思想的・哲学的背景から、演繹的に人間理解しようとするのは危険でもある。

 しかし、近年のインドの発展と、ヨーガをはじめとするインド思想との関わりについて検討することは、中国の発展と中国の思想や、日本の経済成長と日本的思想(あるいは日本的経営)との関係について検討するのと同じくらい重要なことかもしれない。

▼ギャーナ・ヨーガの紹介の後に続く一文が、印象に残ったので引用しておく。
人間がロボットになる」より
 近ごろ、学問というと実利ばかりが求められる風潮があります。つまり、自分のエゴを伸張していくための手段としての知識ばかりが、スポットライトを浴びているのです。しかし、それは果たして本当の知識、学問なのか。例えば、司法試験を受ける。何度受けても落っこちる。そういう挫折というのは人生の中でいくらでもあるわけです。受験のための法律知識自体は無駄になってしまうでしょう。
 しかし、そうではなく、挫折しても自分を生かしてくれる知、自分が失敗したときに支えてくれるような知というものもあるだろうと思います。私が言いたいのはそれなのです。本当の学問というのはそういうものではないのか。精密な体系などよりも、人間を救う学問です。そういう学問を追究していきたい。それが私の理想です。p.41
 そういえばユングも、マンダラに影響を受けたんだよなぁ、などと思い返してみたり。

 久々にオートポイエーシス系の本でも読み直してみよう。

▼本書は、語りおろし本。2005年の出版ではあるが、内容は先見的。やや内容が薄い気もするが、文系的な「情報学」の捉え方として参考になる。

追伸
 インドには学生時代から行きたいと熱望しつつ、一度も、たどり着けていない。妻は何度も行っているらしいので、新婚旅行をインドにすることもできないし…(注:よく聞かれるのですが、新婚旅行としてはまだ一度も旅行へ行ったことはありません)。来年度あたりは、インドに行く機会を作りたいなぁ。

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