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読書メモ(断片):『ニコマコス流恋愛コミュニケーション』(大平健)

▼昨日に引き続き、恋愛ネタと日常的な話題を重ねてみよう。私は、お仕事上、自分の顧客(遠回しな言い方ですまぬ)の皆さんが作成した事物に対して何らかの批評を加えたり、批判的に検討を行う場合、次のような前置きを置くことが多い。
取り上げた個人のことを非難しているのではありません。その人が作成したものがより良いものになるように、一般的なコメントをしています。
 おそらく上記が典型であろう。私は気が弱く(たぶん)、遠慮がちなコメントしかできないのだが、それでも、慎重に断っておかないと「個人攻撃」と勝手に勘違いする人も出てきたりするからだ。個人と、それと関係する事象(例えば、作成されたもの)を「分ける」という作業は、物事を円滑に進めていく上ではおそらく重要である。

 しかし、恋愛的コミュニケーションにおいては、この「分ける」という思考は、なかなか難しい。なぜなら、大平先生の言葉を借りれば、恋愛コミュニケーションにおいては「どんな話も二人のこと」、すなわち一体的だからである。

 『ニコマコス流恋愛コミュニケーション』で取り上げられている事例を紹介しよう。
レベル2 どんな話も二人のことと考える(p.118)

 フリーランスの女性広告デザイナー(31歳)は、パーティで知り合って付き合いはじめた彼と、別れようかなと考えています。彼は29歳。とてもやさしい人なのですが、先日、彼女が希望して出かけたイタリアン・レストランで、ひと口食べたとたん、
 「うわぁ、ここまでぱさぱさにしたんじゃ、旬のスズキもなにもあったんもんじゃないねぇ。なにが炭火焼きだよ」
 彼が、そのレストランを選んだ彼女を非難したわけではありません。彼女に推薦した友人を軽蔑したわけでもありません。しかし、彼女は、なんだか、食事がまずかったのは自分のせいだと言われているような気がしてならなかったのでした。

 ダンシたるもの(※原文ママ)、女性の前だと自分のくわしいこと、得意なことをいばってしまうものです。それ自体は、クジャクの雄が美しい羽をひろげるようなもので、けっして悪いことではないのですが、用心して行わないと、この例のように、相手を威嚇することになってしまいます。

 恋愛コミュニケーションでは、どんな話も二人のことになってしまいがちなので、料理をけなせば、そのレストランを選んだ彼女を非難することになるのです。(pp.128-129)
 「分ける」ことは重要だが、その原点は「分けられない」ことにあると考えておく必要はありそうだ。上記の事例の場合、別事象の問題であると「分けて」みても、後味の悪さは残ってしまいそうだし。というわけで、「分ける」ことの難しさを実感してみたり。

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