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読書メモ(断片):働くみんなのモティベーション論(金井壽宏)

▼金井先生の『働くみんなのモティべーション論』を通読後、一部を精読。私的には今年度、5本の指に入る名著である。やや話の内容に重複が見られたり、こなれていない部分があるものの、これは「あら探し」と言うべきだろう。モティべーション論のテキストとしても、数年(十数年かもしれない)は使わせていただけそうだ。
 以下の一文を読みながら、私自身がかつて「心理学」というものを学んでいた理由(おそらく、私にとっては自分自身の問題を解決したり、悩みに言葉を与える手段だったのかもしれない)と、現在の私にとっての心理学の意味合い(他者に対して言葉を提供し、知見を役立ててもらいたい)の違いについて考えさせられてしまった。

 これは「セルフ・セオリー」と「ワールドセオリー」の違いということになるらしい。
 長い引用となるが、味わい深い一文なのでお許しあれ。
 わたしは、大学での経営管理の講義で、学生にモティべーション論を学ぶことの大切さについて話す。若いときに、モティべーション論を学ぶときには、自分に成り立つセルフ・セオリーの話をみつけてきて、その内容を聞いて納得するだけでいい。自分のやる気を説明するのにふさわしい自分向きの理論をみつけ、その狭義のセルフ・セオリーをマスターし、その応用として、自分のやる気が落ち込んでいるときには、なぜそうなっているかを診断し、再びテンションを高めるのに、そのセルフ・セオリーが使えれば十分だ。たとえば、セリグマンの学習性無力感が、最近、恋愛に燃えない自分を説明できるなら、それを活用する。自分がすばらしい女性をみてもドキドキしないのは、ここ二年の間で、十五回も連続でふられたことによると診断するなら、それを(口説く気にもならない「学習性無力感)」と名づければいい。まずはそれが原因であることに気づくことが大切だ。少なくても、誘ったり、デートしたりする気がまったくないのはつないことだが、それでも、それが生まれつきではなく、いつもふられっぱなしだったことから学習した結果だ、だから、回復することが可能だと考えることができる。つまり、自分がわかったというレベルで十分なのである。やる気を自己調整できればいい。たとえば、好きなタイプを絞り込みすぎて、いたずらにふられることを繰り返すより、好きなタイプのストライクゾーンを広げて、まず、誘うこと、デートを楽しむことを優先することも一つだ。
(略)
 これらは、すべて、自分の問題だ。特に、若いときはそれでいい。しかし、三〇代、四〇代になると、自分が元気になるだけでなく、周りのひとを元気にしてあげることのできる元気印にならないといけない。特にリーダシップをとるつもりなら、ウェルチは、エナジー(=自分が元気であること)だけでなく、エナジャイズ(自分の周りのひとたちを元気にできること)も大事だと強調したものだ。(略)けっこうマイペースで「俺が、俺が」で生活していたひとでも、社会に出れば職場などの共同体の一員になる。さらに役職につけば、部下のモティべーションまで考えざるをえない。そのときに、この"ひととともにいる"が楽しめ、"ひととともに成し遂げる"がうまくできないと、困ることになる。ワールド・セオリーも抱くべきだという理由はここにある。
(太字は引用者による)(pp.250-251.)
 恋愛メタファーも用いながら説明し切るところが、さすが金井流である。人生における「節目」と、キャリアにおける「節目」について考えながら一日を終えてみたり。

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