« HEROと憲法 | トップページ | 小木のウド »

読書メモ(ミニ):Study Skill

▼Study Skillには「勉強する」だけではなく、「研究する」(スキル)という意味も含まれる…という、言われてみれば当たり前のことを、私は人から教わった(正確に言えば、誰かから聞いて「ふーん」と思ったのだが、誰から聞いたかは忘れた)。

 最近、読んだ『科学者という仕事 独創性はどのように生まれるか』に、これに関連する小話が引用されていて、ちょいとおもしろかったのでメモっておく。
 あるアメリカの晩餐会で、彼(アインシュタイン-著者注)は、十八歳の少女のとなりにすわった。会話は停滞しがちで、そのうちこの隣人はたずねた。

 「あなたのほんとうのお仕事は何なんですか?」「わたしは物理学の勉強をしています」(英語のstudyには、「研究する」という意味がある-著者注)と、すでに髪の白くなっていた科学者は答えた。

 「そのお年になって、まだ物理学を勉強していらっしゃるんですって?」と、少女は目をまるくして答えた。

 「あたしは一年以上まえにすませましたわ」と。
(pp.49-50より。改行位置を変更している)
▼敢えて英語を使う必要もないのかもしれないが、study に含まれる2つの意味の違いについて知ることは、「勉強」と「研究」の違いについて触れる契機にはなりそうだ。

 私が理解する限り「勉強」は、自分の意思というよりは、他に強いられているというニュアンスが含まれるが、「研究」は、自らの探求心や知的好奇心にドライブされることが多い。言葉の違いを無視したとしても、「終わり」があるような「勉強」(上記引用の少女のような)を否定しない限り、永遠に進歩なき世界になってしまう。

 同じようなことは、「仕事」と「労働」の違いについても言えるのかもしれない。ハンナ・アレントが「労働」「仕事」「活動」の違いについて論じたように、人が生き延びていく上で求められる「労働」と、新たな創造や価値を生み出す「仕事」は異なる。

 本来的には、「仕事」(work)も、「研究」(study)も、「探求」(inquiry)に裏付けられている限り、同じようなことなはず(であって欲しい)と思いながら、一日を終える。
  • ハンナ・アレント 志水 速雄 (翻訳)(1994). 人間の条件. 筑摩書房
 久々にアレントを読み直してみてもいいかな。

▼『科学者という仕事』は、久々に新書で読み応えのある良書。中央公論らしい。
 いずれきちんと読書メモで取り上げたい。
 ちなみに上記引用部分は、C.ゼーリッヒ(広重徹訳). アインシュタインの生涯. 東京図書(1974)が出典とのこと。

« HEROと憲法 | トップページ | 小木のウド »

日常」カテゴリの記事

読書メモ(ミニ)」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/503693/17387914

この記事へのトラックバック一覧です: 読書メモ(ミニ):Study Skill:

« HEROと憲法 | トップページ | 小木のウド »

ad


2012年5月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    
無料ブログはココログ