▼部屋の掃除をしていたら、学部時代に使っていたIDE(民主教育協会)の、『討議の手びき』が発掘された。この本、とても歴史のあるもので、初版は1961年。改訂が1978年。私が持っているのは18刷。1999年に発行された本である。学部時代、ディスカッション慣れしていなかった私は、この『討議の手引き』を意味もなく熟読し、時にアンダーラインまで引いてたりしていた模様。ちょっと照れくさい。
- 学生問題研究会編(1978). 討議の手びき. 民主教育協会
▼今思えば、実に「当たり前」というか、極めて「常識的」なことが書かれているのだが、当時の私としてはそれなりに役立っていた模様だ。意味不明なメモ(例:ハラ減った)まで書かれていることからすると、食前にも開いていたことがあったのだろう。
確かに、高校生までアカデミックなディスカッション」などしたことはなかったし(クラブ活動で、日々、何かしら打ち合わせのようなことはしていた記憶もあるが)、まして「事前準備」が求められるようなことは、やはり大学に入ってからが初めてだったと思う。会場も大学では図書館なり「自分で確保」する必要があったしな。
▼というわけで、訳もなくアンダーラインが引かれていた場所を引用しておこう。
5 討議をはじめるまえに 「準備は成功の鍵である」(pp.16-17)
- (1) 資料の準備 (略)メンバーはそれぞれに、問題点を指摘したり、意見を発表したりする用意をしておく必要がある。メンバーが分担して資料を研究し、討議のはじめに発表するのもよい方法である。
- (2) 会場の準備 集団討議に集中できるように、人の出入りの少ない、雑音のない場所をえらぶことが必要である。(略)おたがいに顔が見えるようにすることは、きわめてたいせつである。黒板があれば、共通の理解を助けるために活用することができる。
- (3) メンバーのしんぼく(略)メンバーが話したいことをたくさんもっているようなばあいには、あらかじめ、しんぼくの機会にそれをはきださせておくと、討議のときには、より本質的な問題だけに集中し、他人の話をよくきくようになるという効果もある。
- (4) 役わりの決定 司会者・記録係・観察係などの役わりの決定については、二つの考え方がある。(イ)
討議の効率をたかめることに重点をおけば、経験のある適任者をうることがのぞましい(略)。(ロ)
しかし、集団討議の体験を身につけ、討議技術を学ぶことに重点をおくならば、メンバーのだれもが、これらの役わりをしてみる必要がある。(略)
- (5) 時間の使いかた 討議をだらけたふんい気にしないためには、開会の時刻を守ることがたいせつである。また、時間がながすぎると効果があがらない。
以上を、私流に言い換えるならば、(1) グループワーク(グループ討議、集団討議)をする前には、必ず「準備」をして望む。すなわち、グループ内での配付資料、レジュメなどを用意する。(2)
集中してディスカッションができる場所を確保する。できれば、黒板や白板、コンピュータのモニタやプロジェクタなどが活用できる場所が良い。(3)
ディスカッション前後にグループで食事を取る、あるいは議論の最中にお菓子などを用意しておくなどして打ち解けた雰囲気づくりに努める。(4)
役割と時間を意識し、結論が出ても出なくても記録係は必ずディスカッションの記録を取って、可能ならば当時中に記録(ログ)をメール等でメンバーに送付する。もしくは、ペーパーとしてまとめ次回配布。
といったところであろうか。
ごくごく当たり前のことを、当たり前のように遂行できるようになる。さらには、その「当たり前」を、後人に適切に伝えることができるようになれば、一人前なのだろう。しかし、この「当たり前」のような文化を、実際に築いていくのは容易ではないらしい。しかも、「与えられた枠を越えるように」促そうとするとなおさらだ。
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