読書メモ(断片):あいまいさに耐える力
▼人に統計を学ぶ重要性を伝える時、私は河合隼雄氏が言うところの「エゴ・ストレングス」(一見、役に立たないように見えるが臨床家としての自我の成長に役立つ)を例に出すことが多い。しかしながら、その前提となる数学の重要性については、「論理的思考力」が身に付くといった文脈でしか語ってこなかった。
しかしである。最近、たまたま手にした『テレビゲーム時代の子育て』を読んで、「あいまいさに耐える力」というのも確かに、数学を学ぶ一つのメリットなのかな、と思うに至った。印象に残った一文を、引用してみよう。
- 二階堂 正直 (2005). テレビゲーム時代の子育て―親の期待と子どもの本音. 新風舎
(略)子どもがわからない文章問題があった場合、その問題を、いくつかに分けたり、レベルダウンしたりして、子どものできる問題にして再提示します。(略)その計算の途中で、子どもが「ここまで合っている?」と聞いてきたとしても「終わりまでやってから見るね」とやんわり断ります。子どもは計算しながら途中で正しいかどうか不安なのです。もし、途中で聞かれたとき「正しいよ」と答えて安心させると『その不安に耐える力』がつきません。
そのようにして、算数の学習の中でも、解き方が正しいかどうかわからないけれど、先に進めていく力、すなわち『あいまいさに耐える力』をつけていけるのです。このような指導を受けていくと、子どもたちは、いくつかの解き方を試み、しかも、その過程をノートに残しながら試行錯誤するようになっていきます。(略)(pp.54-55)
なるほど。「あいまいさに耐える力」とは、確かにその通りかもしれない。これも河合隼雄氏の言葉だが、「葛藤保持力」に近い考え方かもしれない。葛藤保持力の場合は、何らかの悩みに対して早急に結論を出さないという点に力点が置かれていたと思うが、数学のような問題解決にも同じようなことが言えるというのは、プチ発見だった。
常識的なことかもしれないが、私的には、意外と「盲点」だったのかも。
なお、著者は上記のような指導法を「カウンセリング的学習指導」と呼んでいる。
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これは、現場の人間として強く感じます。
とにかく「これでいいですか」
と聞きに来る子どものなんと多いことか。
確認をとらないと安心できないんだね。
それだけ大人の口出しが多いのでしょう。
「ほっとけないよ~♪」
という歌が昔はやりましたが(知ってる?)
ほっとく力を大人につけることも大事かな、と。
投稿: まさ | 2005年9月28日 (水) 20時39分
コメントありがとう!ごぶさたしてしまってごめんなさい。
「ほっとけないよ~♪」という歌は知らなかったのですが、やはり現場でも、そういう実感はあるのですね。
そういえば以前、某所で、小学校中学年の授業のお手伝いをした事があったのですが、「見りゃわかるだろう」という小さなことに、「これでいいですか」と確認を求められて、少し驚いたことがあります。
「おにーさん(自称)の通りにしてね」という言葉が通じなかったので、もしかしたら「おじさん」と思われているのかも…と考えたのですが(ウソ)、そうではなかったのか。
放置ではなく、見守りつつもほおっておく力のことを、「ほっとく力」と名付けてもいいのかもね。これが浸透すれば、「僕は、君のことをほっておくよ」というセリフがキザに聞こえるようになる時代も、いずれやってくるでしょう(来ないか)。
冗談はさておき、重要な指摘をありがとう。
投稿: おざわ | 2005年10月 1日 (土) 14時29分