読書メモ(ミニ):表現と図解
▼お仕事的関係で、「表現」だとか「図解」関連の本を何冊か物色する。この手の分野はD.A.ノーマンの『誰のためのデザイン?』や『人を賢くする道具』で事足りる気もしないでもないのだが、最近出ている本は具体例が豊富なのが良いかもしれない(具体例くらい自分で考えろ、という気もするけれど)。
- D.A.ノーマン(著)野島久雄(翻訳)(1990).誰のためのデザイン?―認知科学者のデザイン原論.新曜社
- D.A. ノーマン (著). 佐伯胖・八木大彦・嶋田敦夫・岡本明・藤田克彦(翻訳)(1996). 人を賢くする道具―ソフト・テクノロジーの心理学. 新曜社
言うまでもないが、「表」の重要性を指摘するにも、実際、「表」を示しながら例示するか否かで、説得力は全く違う。あるいは、文章を書く際にも、図的表現を使うか否かでは、かなり効果は違ってくる。しかし、このような「当たり前のこと」を、自分で実行するのは意外と難しい時もある。特に文章を書く際など、「自分」中心になりがちだしな。
さらにいえば、「当たり前のこと」をきちんと実行している人(や組織)を、いかに「評価」するかも難しい問題である。通常、例えばコンセプトが分かりにくい商品は、市場で淘汰されるはずだが、必ずしも淘汰されにくい領域があるからなぁ(意図的に難解に示す、ということが効果を持っている場合もあるのは事実だが)。
▼と、前置きが長くなったが、見た限り、藤沢晃治氏の3部作が、内容としても値段としても人に紹介するのには良いかな、という気がする。とくに、「違反例」と「改善例」が具体的に明示されている『「分かりやすい表現」の技術』は、チェックリストも充実しており入門書としても良さそう。
- 藤沢 晃治(1999). 「分かりやすい表現」の技術―意図を正しく伝えるための16のルール. 講談社
- 藤沢 晃治(2002). 「分かりやすい説明」の技術 最強のプレゼンテーション15のルール. 講談社
- 藤沢 晃治 (2004). 「分かりやすい文章」の技術. 講談社
私が、『「分かりやすい表現」の技術』の中で、これは使えそうだな、と思った例は以下の2つである(これら以外にも、独自の例示が多く、参考になる)。
違反例:電話帳機能と親子間通話機能は、すべての機種SX-05、SX-50、SX-550に装備されています。SX-50とSX-550はさらにナンバー・ディスプレイ機能にも対応しています。最高級モデルのSX-550には、盗聴がほぼ不可能といわれているデジタル子機、また電話番号を2つ使えるダイヤルイン機能にも対応しています。
改善例:違いが分かる表示
SX-05 SX-50 SX-550 電話帳機能 ○ ○ ○ 親子間通話 ○ ○ ○ ナンバー・ディスプレイ対応 × ○ ○ ダイヤルイン対応 × × ○ デジタル子機 × × ○
この事例は日常的に目にしているだろうカタログが例になっていて、「表」を用いることの重要性も分かりやすく伝わりそうである。あるいは、「説明」の際の表記の違いが、「理解」とも密接に関係していることを伝えるには以下の例も良さそうだ。
違反例:"neither"で二つの単語を結ぶ場合、接続詞は"or"ではなく"nor"を使う。したがって、"Neither you or I am responsible for it."は誤り。また、動詞は、"nor"で結ばれた二つの主語のうち後者に一致させる。したがって、"Neither you nor he have seen her lately." は誤り。
改善例:
誤:Neither you or I am responsible for it.
正:Neither you nor I am responsible for it.
(Neitherには、接続詞norを使う。)誤:Neither you nor he have seen her lately.
正:Neither you nor he has seen her lately.
(動詞は直前の主語に一致させる。)
一つひとつを見れば当たり前のことだが、表現の重要性を意識していないと「違反例」を量産してしまうことになるんだろうな。
その他の本で、良さそうなものがあればまた取り上げたいところだ。
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