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読書メモ(断片):機長の危機管理

▼今日、ふとした瞬間に「透明な危機」という言葉を思い返す。私の記憶が確かならば、私が予備校に通っていた時にお世話になった代々木ゼミナールの西谷昇二氏(師というよりは先生だわな)が、パンフレットか何かで使っていた言葉である。

 軽く検索をしてみたら出てきた。「透明な危機の頂に 僕らかわりばんこに石を積もう かなり高く積めるはずだ.」。正確な引用かどうか分からぬが(自宅に帰ればテキストが保管してあるはずなので確認できそうだが)、確かこんな感じだった。

▼危機感というのは持ちすぎても、持たなすぎても良いものとは言えない。危機感が見えすぎるのも良くないが、まったく見えないのも逆にこわいものである(例えば、一時、問題になった回転ドアが典型である。明らかに危なっかしい回転ドアは使う気にはならないが、その危険性がまったく見えなくなると事故に結びつく)。

 10年近く前に私が、「透明な危機」という言葉に対して、どんな解釈をしていたかはもはや忘却の彼方ではあるが、「危機」という言葉を強く意識せざるを得ない頃だったのだろう。阪神・淡路大震災も地下鉄サリン事件も、ちょうどその頃だったし。

 そもそも予備校生っていうのは、「危機的な状況」に陥っている存在だしな。

▼そういえば関係ないが、最近読んだ、『機長の危機管理―何が生死を分けるか』では「危機感(を身につけること)に関して以下のような指摘があった。
 技術者の教育や訓練において最も大切なことの一つは危機感を身につけることですが、それはパイロットにとっても大きな課題です。
(略)
 「無知や未熟さ」は、危機感を増幅させたり減衰させたりします。聞き慣れない伝染病が伝えられたりすると俄に恐怖を募らせたり(略)、動物園の猛獣を撫でようとしたりするのもこのたぐいです。

 「便利さ」も危機感を喪失させます。航空機もすっかり自動化されて便利になりました。ところが自動化されると「いつも」それが正常に作動するものと思ってしまうものです。

 「観念的なもの」もまた危機感を麻痺させます。何百万、何千万、果ては何千億という借金や損失を出して身を滅ぼす例はその典型です。それは書類やカードなどによる取引がお金を観念的なものに変質させるからではないでしょうか。

 「安全」も、とかく観念的な扱いを受けやすく、しばらく事故がないと「安全である」と錯覚して徐々に危機感は薄らぐようです。
(略)
 「システムが巨大化する」ことも危機感を薄くさせます。これはシステムが巨大になると、おのれの存在や役割が相対的に小さく感じられ、その流れに身を任せておいてもさしたる不都合は起こらないと、ついつい思ってしまうためです。(略)pp.164-166.
▼便利さや観念、あるいは安全(神話)などにとらわれることなく、また、無知さや未熟さから「危機感」を見失わないように、せにゃあならんな、と改めて確認。「透明な危機」の上に、自分たちの世界が成立している、と言うことを忘れないようにしたいところである。「不透明」な未来だからこそ、「透明な危機」(感)が重要なんだろうな。

 なんとなく、クリスタルというよりは、不透明な未来に、透明な危機感か。

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