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読書メモ(断片):「学び」の構造

▼6月10日に引き続き、名著再読。佐伯胖先生の『「学び」の構造』を読み直す。今回は、「学びのひろがりと高まりの初段階」という節について。物事を段階で示すというのは、マズローの欲求階層(段階)をはじめとして、物事を分かりやすく示す方法の一つだが、本書では「学び」が6段階で描かれているのが印象に残った。

 以下、それぞれ抜粋してみよう。
  • 佐伯胖(1975). 「学び」の構造. 東洋館出版社(pp.175-180)
    より一部抜粋。引用はあくまで全体の一部である。
第一段階
 最もひくいレベルの「学び」というのは、言われた通りのことを全くの受動的に「丸暗記」するレベルである。

第二段階
 次の段階では、「学び」は若干的に選択的に行われる。つまり、「学ぶ側」に一種の「目標」があり、その目標に直接関係のあるものだけが選択されて、そのために「学ぶ」。この場合、その目標から外れているもの、その目標との関係が不明瞭だったり、間接的だったりすることは一切受け付けない。(略)俗にいう、「試験のためだけの勉強」、「ほめてもらうだけの勉強」というのがこのレベルであろう。

第三段階
 この段階での特徴は、まず目標が必ずしも固定していないことである。むしろ、「目標自体をさがす」はたらき=「知的好奇心」の眼が生まれてくる。しかし、この場合でも、自分で新らしい(注:原文ママ)目標を次々とつくり出すはたらきはなく、その目標は外から採り入れられる形で入ってくる。

第四段階
 この段階に至ると、今度は「新らしい知識」(注:原文ママ)の確かめ方が、新しい側面をもってくる。つまり、その「確かめ」のプロセスが、単に、「自分なりに納得がいく」だけでなく、他人の目(別の視点)からみても当然だと思えることだけを選択的に吸収していく。

第五段階
 前の段階(第四段階)では、自分の心の中の他人の目(別の視点)でながめたとき矛盾があったとしても、それは単に「疑問」として外へなげ出されるか、あるいは「疑問」としてのこるだけであった。
(引用者改行)
ところが今度は、その疑問を自分で何か「新しい一貫性」を生み出すことによって、何らかの形で「解消」しようと努める。もちろん、この「新らしい」一貫性」(注:原文ママ)を生み出すプロセス自体は、やはり他人の目からの監視をうけ、他人にも納得してもらえる(と思われる)プロセスで、その矛盾の解消が試みられる。

第六段階
 この段階では、さきの他人の目が、今まで出会った人や自分と接する人々を超えて、あらゆる可能な他人の目を次々と自分で「想定」できるようになる。世の中の種々な現象や問題の中から、新らしい(注:原文ママ)視点を発見したり、また自分自身の内からも、新らしい(注:原文ママ)視点を生み出し、それらと現存する視点との矛盾をこえうる「新らしい一貫性」(注:原文ママ)をつくり出してくる。
 例えば経営学においては「顧客の立場(視点、見方)に立つ」ことの重要性は常々指摘されているし。認知科学や学習科学、あるいは教育学と呼ばれる分野では「学習者中心」」(一般的には、学び手の立場、視点、見方に立つというニュアンスが強い)など指摘されて久しい。しかし、著者の指摘に従うならば、そもそも他者の視点に立てるようになる、ということが最も「広がり」があり「高まり」のある「学び」なのである。

▼顧客の立場に立つ、ユーザ中心、学習者中心など、その重要性を指摘するのはたやすい。しかし、それを実際、形にしていくことほど困難なことはない。

 ということを改めて感じながら、今週も終えるのであった。
 (同じような生活を、延々と繰り返しているような気がしないでもない)

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