読書メモ(断片):僕の叔父さん網野善彦
▼谷川俊太郎の「生きる」という詩は、「かくされた悪を注意深くこばむこと」という言葉で結ばれている。私は、この一節がお気に入りで、大学時代も「悪」とは何か、ということについて、繰り返し考えていたような気がする。
私は、自分自身が置かれた立場を絶対だとは思いたくないし、たとえば自分がたくさんの他者に支えられていると同時に、制約されている(たとえば私は税金のおかげで生活できている面もあるが、制約も少なくない)ということは忘れたくない。少なくても、自分自身にどんな権力が働いているか、そこには敏感でありたい。
すべての「学」は究極的にはそこに通じるのかな、とも思ったりする。
たとえば、「学生」でいる間に、どれだけの税金が投入されているか大学生は知っておいても良いし(かく言う私も大学時代にその事実を知ったのだが)、国家公務員やそれに準ずる法人が対費用に対してどれだけの「成果」をあげているかについて、目を向けておいた方が良い。競争原理についても、権力の網の中では、「フェアな競争」が行われないという点についても、確認しておいた方が良いだろう。
私自身の反省も含めて、「歴史」(とりわけ負の側面)をしっかり学んでおきたいところである。「かくされた悪を注意深くこばむ」ことも「生きる」ことの一部であろう。
▼『僕の叔父さん網野善彦』は純粋に読み物として面白い。個人的には、裏話的話題が興味深かった。網野歴史学の入門書としても最適かも。
私は、自分自身が置かれた立場を絶対だとは思いたくないし、たとえば自分がたくさんの他者に支えられていると同時に、制約されている(たとえば私は税金のおかげで生活できている面もあるが、制約も少なくない)ということは忘れたくない。少なくても、自分自身にどんな権力が働いているか、そこには敏感でありたい。
すべての「学」は究極的にはそこに通じるのかな、とも思ったりする。
歴史学とは、過去を研究することで、現代人である自分を拘束している見えない権力の働きから自由になるための確実な道を開いていくことであると、網野さんは信じていた。▼しかしながら、他者に支えられているという事実も、制約されているという事実も「棚上げ」して、自分の立場を絶対的に捉えている人が少なくない。
(引用者改行)
話をしている最中に、こちらが少しでも今の学問の世界に行きわたっているような常識に依存した発言をしたりすると、「歴史学は意識を解放するめの方法でなきゃだめなんだよ。よく知りもしない相手に自分の常識を押しつけるのは、ぜったいによくない。ぼくは今日の常識が明日の非常識に変わってしまう光景を、何度も目撃してきたからね。今日の常識に依存して歴史を解読しようという君の態度は、ぜんぜんいただけない」という厳しい言葉がしょっちゅう飛び出していた。
(引用者改行)
「ぼくは別に歴史学をやってるわけじゃないよ」などと反論しようものなら、「いや、どんな学問でもそれは同じだ」と、ますます頑強に攻撃してくる。そしてこちらが辟易した顔をしていると、少し反省したのか「でも、とりわけ歴史学はそうじゃないといけないんだ」とひとこと、これが網野さんの思想だった。(pp.70-71)(太字は引用者)
- 中沢新一(2004). 僕の叔父さん網野善彦. 集英社
たとえば、「学生」でいる間に、どれだけの税金が投入されているか大学生は知っておいても良いし(かく言う私も大学時代にその事実を知ったのだが)、国家公務員やそれに準ずる法人が対費用に対してどれだけの「成果」をあげているかについて、目を向けておいた方が良い。競争原理についても、権力の網の中では、「フェアな競争」が行われないという点についても、確認しておいた方が良いだろう。
私自身の反省も含めて、「歴史」(とりわけ負の側面)をしっかり学んでおきたいところである。「かくされた悪を注意深くこばむ」ことも「生きる」ことの一部であろう。
▼『僕の叔父さん網野善彦』は純粋に読み物として面白い。個人的には、裏話的話題が興味深かった。網野歴史学の入門書としても最適かも。
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