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読書メモ(ミニ):論理思考の鍛え方

 試験問題ネタの続き。ちょっと前に読んだ『論理思考の鍛え方』のメモをまとめて今回のシリーズ(?)を終えます。

 本書は、いわゆる論理的思考本=クリティカルシンキング本だと思って購入したのだが、タイトルと中身が若干、ずれている典型的な本だった。帯(表紙)に書かれている通り、「論理的な思考能力を測る各種難関試験の問題を分析し、一貫して求められている力とは何かを解明する」というのが本書の趣旨で、論理的思考の「鍛え方」というよりは試験問題の分析が主な本だった。扱われているのは、いわゆる国立・私立の有名小学校入試から、中学入試、大学入試、企業の採用試験やら国家公務員、ロースクールの適性試験など、幅論理思考の鍛え方はかなり広い。

 著者曰く、上記の試験問題を分析すると、試験で重視されている「能力」は、次の7カテゴリに分類可能らしい(p.23)(括弧内の説明は、目次にあった説明)。

  • 推理能力(物事の関係性の発見)
  • 比較能力(相対性の認識)
  • 集合能力(全体と部分の把握)
  • 抽象能力(高度な問題解決能力)
  • 整理・要約能力(言語を媒体とする論理性)
  • 直感的着眼能力(「創造性を働かせて中心、核となる問題のポイントを抽出、着眼する能力」)(p.45)
  • 因子順列能力(「問題解決に当たってどの能力をどのような順番で使用するかという複合能力」(p.51)

 それ以前に、これが成立する前提として「同一性を発見する力」や「相対的に見る力」が挙げられているのも本書の特徴であろう。

 私個人的には、この手の「能力」をある種のカテゴリに還元するような考え方は、あまり好きになれないのだが(理由を書き始めると、止まらなくなりそうなので以下略。この手の分類は歴史も長いらしい)、本書は実際の「試験問題」が事例となっているという点で、なかなか興味深い論考ではあった。

 最近、私自身が読んだ関連書では、『ビル・ゲイツの面接試験―富士山をどう動かしますか?』や、『「頭がよい」って何だろう―名作パズル、ひらめきクイズで探る』に近いものがあるが、試験ネタを体系的にまとめたものとしては本書は新規性は高いだろう。
(大学入試に特化したものとしては、『悪問だらけの大学入試―河合塾から見えること 』や、現代国語に限定すれば『教養としての大学受験国語』などもあるかな)

 上記の分類以上に、論理的思考力の上位概念(?)として、「利益衡量」が挙げられていたのも興味深い点だった。見方にちょっと偏りがあるかなという気がしないでもないが、著者によれば、医師国家試験では「瞬間的利益衡量」、国家公務員一種では「総合的利益衡量」、ロースクールの資格試験では「論証能力」「実質的利益衡量」が求められているらしい。「利益衡量」っていう考え方は、私的にも参考になるかも。

 一般論としても、ひとの「能力」というものをいかに捉え(たとえば、それが個人に還元できるのか、相互的なものなのかというのは大きな論点である)、それをいかに「評価」していくかは(プロセスの中で評価してゆくか、成果・結果として評価するかは違う)、永遠の課題だよな…と、言うまでもないことの重要性を確認する今日この頃。

 来年は、このあたり少ししつこく見ていこうかな。

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