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フィードバック

▼何らかの評価をしなければならない時(たとえば試験問題を作らなければならない時とか)、その人の「これまで」を評価しようとするか、あるいは、将来的な「ポテンシャル」も含めて検討するかは、大きな違いがあるような気がする。また、その結果をフィードバックするか否か、また、どんな形で戻すかも問題だ。

 一般的には評価といえば前者を指すだろうが、将来的なポテンシャルも含めて評価してもらえると、評価される側としてはうれしいことが多い気がする。

 しかし、金井・高橋(2004)曰く、前者は多様な判断基準を持つもので、フィードバックする必要があるが、後者は共通の軸を築くことが重要で、フィードバックは必ずしも必要ないらしい。前者は分かるが、後者の認識の違いは…うーむ。
 もうひとつ重要なのは、人のポテンシャルの評価その人の過去の成果貢献度の評価は、まったく別物ということだ。過去の成果や貢献度は、タイムリーにフィードバックすることで、戦略的方向性の徹底、気づき、成長、認知などの効果がある。これらはどんなに客観的に正しい評価を行っても、本人に適切にフィードバックをしなければなんの効果にもつながらない。そしてその判断基準は、ビジネスや職種特性、戦略的判断により多様なものとなり、同じ成果に対する評価が、戦略が変わった途端に百八〇度変わってしまうことさえある。
 これに対し、人としてのポテンシャル、将来性の判断は、その人の将来的な活用や育成、異動やジョブ・アサインメントの効果を高めるために重要だ。たとえば、リーダー人事の発掘や意図的試練の付与などの育成策につなげるために必要となってくる。このような人材評価は、必ずしも本人へのフィードバックが必要とはかぎらない。
 一方で、全社に共通した用語やポテンシャルの判定の考え方が必要だ。たとえば「あいつは優秀だ」といっても、人によってその中身は異なる。この評価は長い時間をかけて試行錯誤しながら、社内が同じ目線で見られるようになることが重要なので、先ほどの成果評価とはかなり異質なものだ。この両者は混同せずに、はっきりわけて行う必要がある。
 もしかしたら、後者に関しては直接的なフィードバックというよりは、ポジション(役割)を与えるとか、フィードバックの仕方が違う、という見方も可能かも知れない。

 実際的には、成果評価では判断基準も含めたフィードバックが必要だろうし(&判断基準が変わる、ということも含めて)、ポテンシャルについては全体のビジョンが明確になっていることが前提になるような気がする。

 どちらにせよ両者の違いを意識しておいた方が良さそうではある。

▼フィードバックをどう扱うか、という点については、「フィードバックは資源である」というアッシュフォードの論文を引いて次のような説明をしていたのが参考になった。
 ミシガン大学のスーザン・J・アッシュフォード氏の一九八六年の有名な論文に、「フィードバックは資源である(feedback as a resource)という指摘がある。フィードバックは石油や天然ガスのように、上手に使えば価値を生む資源だというのだ。だが資源というのは、だれかが発見するまでは土中に埋もれたままだし、運よく発見できたとしてもその使い方がわからなければ、そこに価値は発生しないどころか無用の長物でしかない。資源というかぎりは、目的のためにきちんと利用しなければ意味がないのだ。
 フィードバックでもうひとつ大事なのは、それが他人にとっていかに有用なものであっても、自分にはたいして役立たないと思ったら、潔く捨てるということだ。いくら資源だといっても、掘り出したものは全部、有効活用しなければならないなどと考える必要はないのである。(p.98)
 他者からの声を「資源」として捉えるっていう見方それ自体も重要なのかも。「フィードバック」という概念(あるいは「多声性」でも)をどう伝えるかも課題だな。

▼以前も書いたが、『部下を動かす人事戦略』は概略的な入門書。とくにキャリア全般に興味があるならば、以下の二冊がお勧めである。
 上記も含め組織とひとに全般に関心があるならば、以下が大変参考になる。  この分野、私もちゃんと学び直したいなぁと思いつつ、未だ行動できず(言い訳)。

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