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読書メモ:「質」とは何か

▼オリジナルは2003年11月に書かれたものです。

▼定義とはややこしいものである。

 たとえば、「質」とか「量」というのは、ありがちな対立軸ではあるが、よくよく考えるとその区別はあいまいである。

 一般的には、「量」は数字で表されるような「何か」で、「質」は数字で表れないような性質の「何か」を指すことが多いような気もするが、定性と定量の区別とか、質的研究と量的評価の違いは、相対的にしか分からない。

 私なんかは、「質」という字をじっくり眺めて考えていると、「質入れ」とか「賃」「貢」「負」とか、別な概念が彷彿してくるのがまた難点である。

▼そんなことを考えながら「評価」に関する本を、ざっくり探していたのだが、『大学は生まれ変われるか』という新書の中に、「質」と何か?についてのなかなか興味深い(行き所のない)解説が書かれていた。引用してみよう。
 それでは大学の名にを評価するのか?それは一言でいって、大学の「質」とでもいうべきものである。(略)
 それでは「質」とは何か?これまた限りない議論となる厄介の対象である。(略)オランダの大学評価の専門家は、質とは何かについてのおびただしい議論や論争を整理したうえで、結局質の定義をもとめるのは時間の無駄だという結論に達した。彼によれば、qualityとはloveのようなもので、誰もがそれについて語り、その存在を感じたり認識したりすることはできるが、いざそれを定義しようとするとむなしく立ち往生するしかない代物だという(Vroeijenstijin. 1995)。(p36:下線は引用者)
 そうかqualityっていうのはloveなようなものなのか、と一瞬納得しそうになったのだが、もしqualityとloveが同じようなものなのであれば、loveについても、同様に定義を考えてみるのが筋というものだろう。
(注:定義を探るのは、時間の無駄だと書いてあるような気もするが、細かいことは気にしないのが長生きの秘訣である。)

▼A氏にご紹介いただいて新潮国語辞典を買ったばかりなので(自慢、ふふふ)、とりあえず手元の辞典3冊で調べてみた。
新潮現代国語辞典 レンアイ【恋愛】
 特定の異性にひかれて愛し慕うこと。精神的・肉体的な結合を求める男女間の愛情。「ラブ」「リーベ」などの訳語という。こい。愛恋。
 「恋愛は人世の秘鑰なり、恋愛ありて後人世あり 想世界と実世界との争戦より想世界の敗将をして立籠らしむる牙城となるは、即ち恋愛なり〔透谷・厭世〕」
 「結婚は(略)恋愛を調節することには有効ではない〔侏儒〕」

新明解国語辞典 れんあい【恋愛】 
 特定の異性に特別の愛情をいだき、高揚した気分で、二人だけで一緒にいたい、精神的な一体感を分かち合いたい、出来るなら肉体的な一体感も得たいと願いながら、常にはかなえられないで、やるせない思いに駆られたり、まれにかなえられて歓喜したりする状態に身を置くこと。

集英社国語辞典 れんあい【恋愛】
2人の男女が違いに特別の情愛をもち、恋しく思うこと。恋。
 なお、新明解の有名な「合体」云々は、私の持っている版では出てこないのであしからず。この3つをふまえて検討すると、「質」というのは、「一体感」とか「結合」とか、特別な「情愛」のことを指す、ということを暗に示唆していると考えられる。これはなかなか深淵な指摘(勝手な解釈)だろう。

 もっとも「質とは人生の秘鑰なり」なんてことを書いてみても、やはりむなしく立ち往生するばかりであり、やるせない思いに駆られることの方が多いような気がしないでもない(かなえられるのは「まれ」なのか?)。

▼話を戻すと、「質」は「目的への適合性」と考えるべきらしい。
 「質」はそれ自体の絶対的な価値基準で示せるものではなく、大学の学部・学科の教育目的ないし研究目的にいかに合致するように達成しているかを証明したもの(OECD. 1999)
 しかし、「目的」というのも実に難しい概念である。「目的」を辞書で引くと…このまま辞書と戯れて一日が終わりそうなので、今日はここまで。

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