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読書メモ:「異和感」の対自化

▼私は、時々、研究的に人にインタビューをさせていただくことがあって、日頃から「質問のレパートリー」を増やすように心がけているのだが、臨機応変(=半構造的)に、適切な質問を投げるのは容易ではない。

 自分としても、何とか「質問力」的な力を向上させるべく、インタビュー的な手法を用いて描かれた著作を読んだり、方法論的な本を読んだり、プロの方のインタビューの記録を拝見させていただいたり、テレビでよく放映されているお茶の間インタビューを分析したりと、それなりに試みているのだが、自分で実感できるレベルまで力量を上げるのは大変である。

▼という前置きはさておき、たまたま読んでいた本の中に、「異和感の対自化」という手法が紹介されていて、参考になりそうなのでメモしてみる。
  • 野口 裕二・大村 英昭(2001). 臨床社会学の実践. 有斐閣
    宮本信巳(2001) 「臨床社会学の体験と方法 -精神看護の実践・研究・教育を通して-」(p25-52)
(注)以前、『現場心理学の発想』という本の中で「違和感分析」という手法を読んだことがあったが、それとは違うようだ。改めて『現場心理学の発想』を確認後、up dateするかも。
 一般的には「異和感」は違和感の誤用である。しかし、本書によれば「身体感覚を適切に視野に収めるための用語として」(p35)、「違和感」ではなく「異和感」という言葉を敢えて用いているそうだ。

 著者曰く、異和感には「怒り、苛立ち、悔しさ、恨み、裏切り、不信、疑い、無力感、虚しさ、徒労感、焦り…」(以下、合計24件の形容詞が続く)や、「息苦しい、胸苦しい、むかつく、腹が立つ、体が熱くなる…(略)」などの、ありとあらゆる「否定的な感情」が含まれるらしい(p36)。

 これだけ否定的な形容詞や動詞が並ぶと、それだけで一瞬、引いてしまいそうになるが、あくまで異和感は対自のための「糸口」のようだ。
 曰く、「異和感を糸口として、他者についての理解や、相手と自分を取り巻く現実についての理解を深め」、その結果として「異和感の解消と対人状況の改善を図れる」(p36-37)とのこと。
 要するに、自己理解と他者理解のための手法ってことになるのかしら。

▼「異和感の対自化」は、具体的には8段階の質問として捉えられる。括弧内は、それぞれの段階の名称である。
  • (1) 誰のどういう言動から異和感が生じたか?
    (異和感と他者の言動との照合)
  • (2) 異和感の中には、どのような感情や感覚が混じっているか?
    (知覚した異和感の内容確認)
  • (3) 相手の言動のどこが気に入らなかったか?
    (相手の言動への批判の徹底)
  • (4) 相手の側に正当性ややむをえない事情はなかったか?
    (相手の正当性や限界の発見)
  • (5) 自分の側に囚われや相手に対する先入観はなかったか?
    (自分の側の囚われと先入観の発見)
  • (6) 異和感が生じるのもやむをえない事情はなかったか?
    (自分の正当性や限界の発見)
  • (7) 自分と相手はどこが共通し、どこが違っていたか?
    (自分と相手との差異と共通性の明確化)
  • (8) 異和感はどのように変化し、どのような関心が生じたか?
    (異和感の解消と新たな関心の発見)(以上p37を編集)
 著者によれば、これらは「思考と感情と身体感覚の入れ混じった流れ(p38)で、具体的には(1)~(2)では、体験した異和感の再現を、(3)~(6)では、相手と自分への否定と肯定を徹底することで、双方に対する康平でバランスの取れた理解を、(7)と(8)では距離を保ちつつ、今後の見通しや方針を考えることが試みられる模様である。

 なかなか総括的な質問になっている気がする。段階的に考えることで、質問のレパートリーを増やすためのトレーニングにもなりそうだ。

 個人的には、他者が抱いている「異和感」に近づく契機として、この質問群は応用可能かな、と思ったりもする。
(結局は同じことを言っていると思うが、私自身は、他者が「異和感」を意識し、それに言葉を与える過程に関心があるのだと思われる)。

 というわけで、今後、意識的にポジティブな意味での「異和感」ないし「違和感」に少し着目してみようっと(個人的には「齟齬感」の方が、しっくりくるかな。かみ合わせが悪い感じが、私にとっての違和感なのかも)。

▼取り急ぎメモにて。たぶん後日更新します。
 うまくまとまっていなかったらごめんなさい。

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