読書メモ:本人の日々
▼本人術
先月の日記にも少しだけ書いたが、南伸坊氏の『本人の人々』は実に愉快だ。
書店的にはサブカル本の棚に置かれているらしいが、学術書としてもおかしくない。
「段取り力」やら「質問力」で知られる氏ならば、「本人力」と名づけるところだろう。「力」ではなく「術」とするあたり、味が出ている。
▼本人になってみる、という経験
「本人術」では、単に人の文体を真似る、模倣する(アリストテレス風にいえばミメーシス)のみならず、その人の姿、格好も含めて模倣することで、文章にも「本人らしさ」が、一層にじみ出るのが特徴だ。氏曰く、
心理学の世界でも、「内面は外見に左右される」という点は以前から指摘されている知見ではあるが(たとえば、悲しいから泣くのか、泣くから悲しいのか=情動の二要因理論は…あんまり関係ないか)、それを高度なレベルで実践しうるのが南氏のなせる技、と言えよう。
▼村上龍と竹中平蔵
具体例がないと分かりにくいかもしれないので、ここでは2名の「本人術」をご紹介しよう。本書は、もともとは雑誌(『ダカーポ』)の連載記事のため、雑誌風の「編集術」の効果を引用では紹介できないのが残念なところだ。
たとえば、村上龍(に扮する南伸坊氏)曰く、
あるいは、竹中平蔵(に扮する南伸坊氏)曰く
以上、「本人術」のほんのさわりをご紹介させていただいた。やっぱり書籍を離れると引用も効果がない…ような気がするので、これ以上の詳細は手に取るしかないでしょう(たぶん)。
本書では、さまざまな著名人総勢70名(なんとあの「タマちゃん」もいる)になりきった南伸坊氏の芸を楽しめて、結構、お得(?)かもしれない。
追伸
本当は南伸坊氏風の「本人術」を活用して何か書いてみようと思ったのだが、さすがに姿格好は…。まだ自分を捨てきれないかも。
これを高度化させてプラトンに扮してみたり、デカルトに扮してみたり、ニーチェに扮するようになれると、たぶん賢くなれるような気がします。もうちょっと修行して、ガンジーっていうのもありか。

先月の日記にも少しだけ書いたが、南伸坊氏の『本人の人々』は実に愉快だ。
書店的にはサブカル本の棚に置かれているらしいが、学術書としてもおかしくない。
- 南伸坊(2003). 本人の人々.マガジンハウス
「段取り力」やら「質問力」で知られる氏ならば、「本人力」と名づけるところだろう。「力」ではなく「術」とするあたり、味が出ている。
▼本人になってみる、という経験
「本人術」では、単に人の文体を真似る、模倣する(アリストテレス風にいえばミメーシス)のみならず、その人の姿、格好も含めて模倣することで、文章にも「本人らしさ」が、一層にじみ出るのが特徴だ。氏曰く、
私は、さまざまな本人になってみた。そうして、その本人の身になって文章を書いたのである。(略)実際は、「本人の身になった写真を、鏡を見るように『見ながら』本人としての言葉をつむぎ出す、という手順になったことが多かった。」そうだが、実際に「本人になってみる」という段階が重要なのだと思われる。
不思議なものだが、そのようにして書くと、ごく自然に自分の文章とは違う文が書けるのである。外見は内面を写すが内面は外見に左右されるのだった。女装をすると、たいがいの男は女っぽくなるのだが、これと同じようなことが、もう少しビミョーな具合におこっていると考えて大きく間違わない。(pp.11-12)
心理学の世界でも、「内面は外見に左右される」という点は以前から指摘されている知見ではあるが(たとえば、悲しいから泣くのか、泣くから悲しいのか=情動の二要因理論は…あんまり関係ないか)、それを高度なレベルで実践しうるのが南氏のなせる技、と言えよう。
▼村上龍と竹中平蔵
具体例がないと分かりにくいかもしれないので、ここでは2名の「本人術」をご紹介しよう。本書は、もともとは雑誌(『ダカーポ』)の連載記事のため、雑誌風の「編集術」の効果を引用では紹介できないのが残念なところだ。
たとえば、村上龍(に扮する南伸坊氏)曰く、
リュウ?俺は違うよ一介のホームレスようわー、確かにホームレスっぽい村上龍だ(二重の演出になってる)。
もっとも大事なことは、生きのびるためのスキルだと思う。どこに行けば、ベストセレクションで賞味期限オーバーの弁当があるか、段ボールやアルミ缶をゲットできるのかって情報の収集能力とか、正確さ、スピードが問われていると思うんですよ。
必要なのは「自分で考え判断することの大切さ」なんであって、どん欲にポジティブに生きてく、最終的にフィジカルの力だしモチベーションだと思うなあ。(p.30)
(注:太字はキャプション。インタビュー記事風に読もう)
あるいは、竹中平蔵(に扮する南伸坊氏)曰く
一寸先は闇というのが世の中の実相です確かに、竹中さんってそういうこと言ってますね。そういえば彼の講義でも、経済学の「前提条件」がさらっと、しかし確実に語られていたのかも。
これは、お断りしておきますけれども、あくまでも一般論であって、私のコメントの片言隻句を深読みといいますか、針小棒大に誤解をされるようなことが、ままあって、大変コマったことであると思っているわけでありまして。(p.58)
以上、「本人術」のほんのさわりをご紹介させていただいた。やっぱり書籍を離れると引用も効果がない…ような気がするので、これ以上の詳細は手に取るしかないでしょう(たぶん)。
本書では、さまざまな著名人総勢70名(なんとあの「タマちゃん」もいる)になりきった南伸坊氏の芸を楽しめて、結構、お得(?)かもしれない。
追伸
本当は南伸坊氏風の「本人術」を活用して何か書いてみようと思ったのだが、さすがに姿格好は…。まだ自分を捨てきれないかも。
これを高度化させてプラトンに扮してみたり、デカルトに扮してみたり、ニーチェに扮するようになれると、たぶん賢くなれるような気がします。もうちょっと修行して、ガンジーっていうのもありか。
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