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読書メモ:不幸論

▼オリジナルは2002年10月に書かれたものです。

幸福論の存在価値って?
 書店に行くとたいてい「幸せになるための○×レッスン」的なタイトルの本が置いてある。「幸福論」に類する本なのだろうが、いったいこの手の本の存在価値って何なのだろう。不幸を感じた時に読む本?なのだろうか。

 私も、自分が不幸のどん底(だと本人が思っていた時)に、実際、人に推薦していただいた本を何冊か読んでみたことがあったが、どれもSo what? 状態だった。どうやら私は幸福論が理解できるほど、不幸ではなかったらしい。

 今日、たまたま書店に中島義道氏の「不幸論」を見かけた。「幸福論」が理解できなくても、「不幸論」なら理解できるのではないかと考え、とりあえず購入。。相変わらずの中島節だが、巷の「幸福論」よりはるかに面白い。「不幸論」が理解できるってことは…、私はたぶん幸福なのだろう。
 もしかしたら本当は、考え方が逆なのかもしれませんけどね。
 (「不幸論」を読まれた方は、ぜひ不幸論談義をしましょう(笑)

幸福になる方法とは
 私はこれまで、もし人に「幸福になる方法」なるものがあるとしたら、
  • 幸福について考えないこと
  • 自分のことを「不幸」と捉える自分自身の幸、不幸を考えること(自分と向き合うこと)
 のどちらかではないかと思っていた。

 正確には、前者は、「幸福」という概念そのものを忘却することだから「幸福になる方法」ではない。後者も、正しくは「幸福になる方法」ではないかもしれない。自分自身を内外から捉えたからといって幸福になる保証はないし。

 中島氏の本によれば、どうやら前者は、エピクロス派、後者はストア派の立場に似ているらしい。私は後者が好きというか、私の思考は勝手にそう働くように出来ているのだが、中島義道氏も同じような感じな模様。

 なるほど、私が中島氏(の著作)とフィーリングがあう理由が分かりました。しかし、これってもしかしたらすごい不幸なのかも(笑)。

幸福は幻想である ならば 不幸もまた幻想である(はず)
 中島氏の立場は、「幸福は幻想である」の一言に尽きる。
「幸福は、盲目であること、怠惰であること、狭量であること、傲慢であることによって成立している。」(p50)
 幸福は幻想だが、不幸はそれに眼を向けざるを得ないものらしい。確かに、人は幸福(だと思っている)時、さしてその理由を問わないことが多い。幸福の理由を考え思い悩む人って滅多にいないだろう。一方、不幸(だと思っている時)は、なぜ不幸なの?という疑問が生じずにはいられない。

 中島氏は(ストア派系では)、不幸を無理に楽観的に捉えるんじゃなくて、不幸をあるがままに捉えることに美を感じるらしい。
 ストア派は、(略)、いかなる悪や渦にも動じない態度を身につけることが幸福をもたらすと言う。それには、悪や渦から眼を逸らせるのではなく、むしろそれらを日々、しっかりと見据えることである。そうすれば、いたずらに恐れおののく態度は消えて、それを受け入れることが容易になる(p65)。
 実際、受け入れることは簡単なことじゃなさそうですけどね。どうやれば受け入れられるものか?気がかりなところですが、中島氏の本ではこの辺りが掘り下げられていないので、自分で考える必要あり。

 もう一点。これも中島氏は、述べていないのですが、幸福が幻想であるとすれば、不幸もまた幻想ではないでしょうか。
 中島氏は、不幸の泉源としての「死」について、若い時から考えておられる模様。でも、中島氏の「死」の考え方は、どうもわかんないんだよなぁ。

 幸福と不幸、現実と幻想、生と死なーんて…完全な二元論の罠なのかもしれませんけどね。私としては、やっぱりそもそも、なぜ人はそういう二元論的思考をしてしまうのかが気になるところではあります。幻想とそうじゃないものの境界に何があるのか?これも相変わらず気がかりなところです。

 結論:幸福という幻想にリアリティを感じる人と、不幸という幻想にリアリティを感じる人の差異が、「幸福論」の理解の違いに現れるんでしょうか。

補足:ちなみに中島氏の言う幸福の成立要件
  1. 自分の特定の欲望がかなえられていること。
  2. その欲望が自分の一般的信念にかなっていること。
  3. その欲望が世間から承認されていること。
  4. その欲望の実現に関して、他人を不幸に陥れない(傷つけない、苦しめない)こと。
 すべて満たすなんてことは到底無理。
 3.が肥大化すると、「幸福であると思われたい症候群」になるらしい。
 4.と1.のアンバランスは、たぶん「ひきこもり」のような状態だろう。

 さまざまな説明の道具として上記の4分類は使えるかも。

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