読書メモ:広告論講義
▼オリジナルは2002年7月に書かれたものです。
▼20世紀論としても広告論としても、各種メディア論としても読める良書。幅の広さが、この本の良いところだろう。今回の「読書メモ」では幅の広さを勝手に解釈して、私が気になった部分を自分なりにまとめてみました。
現代思想系や社会学系人たちも、消費社会や広告などについて、いろいろ言及しているのですが、この手のテーマを、複眼的に捉える一つの契機として、本書は、非常にすぐれた素材を提供している…かも。
私は本書のように、バラバラに内容を解体して、素材として自分なりに使える本が好きです。無理な解釈の押しつけはちょっと苦手。
▼20世紀論としても広告論としても、各種メディア論としても読める良書。幅の広さが、この本の良いところだろう。今回の「読書メモ」では幅の広さを勝手に解釈して、私が気になった部分を自分なりにまとめてみました。
- 天野 祐吉(2002). 広告論講義. 岩波書店
天野氏が20世紀の10大広告として掲げているのは、(2)神話としての広告
1)パリ万国博覧会、2)南極探検隊員募集広告、3)エンゼルと福助、4)T型フォード、5)ヒトラー、6)スモカ歯磨、7)フォルクスワーゲン、8)アンクルトリス、9)NASA、10)日清カップヌードルの10個なのだが、NASAの月面着陸のような試みも含めて「広告」と呼んでいるのが興味深い。
アポロ計画は冷戦時代の「旧ソビエトVSアメリカ」色が強いのだが、この一連のキャンペーンもまた「広告」なのである
天野氏自身がそう言っているわけではないのだが、さまざまな事柄を「広告」といったん見なして考えるのも楽しそうだ。例えば、個人のホームページも「広告」として捉えられる。
個人ホームページを「広告」として捉えた時、私のページはいったいどんな広告になっているのだろうか?
- インターネット上に現れるさまざまな広告(個人が開いているホームページも大半は自己広告だと言っていい)を見ていると、昔の個人広告がタイムスリップしてきたんじゃないか、という感じを受けることがあります(p219)。
広告というのはある種の「神話」づくりと関係しているらしい。(3)デザイナーは何をデザインするのか「神話」っていうのが、どこから生まれて、どのように語り継がれていくのか、そのプロセスを探るのも興味深い。
- ”評判づくり”というか”神話づくり”も、広告の重要な仕事(p35)
- 情緒は押しつけるものではない、受け手のなかから誘い出すものだ(p33)
広告が「差異」に関わるものだっていうのは、よく知られた話だが、差異を創り出す仕事全般を「デザイナー」と呼んでいいのだろうか。デザイナーは何をデザインするのか?どこかの雑誌に出てきたような問いだが、ちょっと気になる。(4)広告の意図と、意図せざる結果
コピーライターの養成ちっくなことを、授業に入れてみるのも悪くないかも。コピーっていうのは「要約力」の一種だし。
- (リースマンを引用して)この企業[ゼネラル・モータース=GM]におけるいちばん中心的な地位は、もはや機械技術者でもなく、また、会計係でもなくなった。いちばん枢要(すうよう)な地位を占めるのはデザイナーなのである(p135) リースマン『何のための豊かさ』
広告に限ったことじゃないと思うのだが、意図できる部分と、意図せざる結果をどう、捉えていくかっていうのも問題だ。以上、単に本を要約するだけじゃもったいないので、自分なりに気になった点を今回はまとめてみました。引用が多いけど許してやってください。神話化っていうのは、意図せざる作用が含まれるはずだし。
- (アメリカ月面着陸を指して)”アメリカ”を広告するつもりだったNASAが、結果的に”地球”を広告することになってしまったのは、それにしても、皮肉な話です。ナショナリズムを売りながら、同時にアンチ・ナショナリズムを売ったようなものです。が、だから、テレビなのです(p177)。
- (JR西日本の「そうだ、京都行こう」を指して。この広告を見て、東大から京大に志望を変えたという話を引用しながら) それはこの広告の本来の目的とは違うなんて、野暮なことを言ってはいけません。時代の”いま”に共振するものを持ったCMは、広告のねらいを越えてイメージの翼をひろげていく。(p199)
現代思想系や社会学系人たちも、消費社会や広告などについて、いろいろ言及しているのですが、この手のテーマを、複眼的に捉える一つの契機として、本書は、非常にすぐれた素材を提供している…かも。
私は本書のように、バラバラに内容を解体して、素材として自分なりに使える本が好きです。無理な解釈の押しつけはちょっと苦手。
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